(一社)ランドスケープコンサルタンツ協会(以下CLAという)が実施した「2025大阪・関西万博ランドスケープデザインコンペ」の結果がまとまりましたので、CLAのホームページに公表します。
CLA関西支部HPより事前登録の上、同HP応募フォームから応募作品(A1サイズパネル化<横使い・2枚以内>を想定したPDFおよび提案趣旨書)を募集。
・登録期間2019年9月27日(金)~10月31日(木)
・応募期間2019年10月15日(火)~2019年12月20日(金)
・登録者46件のうち23件が応募
・個人応募よりグループ応募が多い
・20代30代40代の応募者が多い
・民間設計会社の設計者グループからの応募が多い
・学生応募も6件あった
・関西からの応募が多い
・海外からも4件の応募があった
(1)第1次審査会
【開催日時・場所】
令和元年12月26日18時30分~
於:㈱公園マネジメント研究所会議室
【出席者】
武田重昭 井原縁 田中充 西辻俊明 の4委員
【審査経過】
各委員に事前に10点程度の優秀作を選定していただいたうえで、23作品を1点ごとに審査し、2次審査会の対象となる11作品を選出した。
(2)第2次審査会
【開催日時・場所】
令和2年1月6日15時~
於:(一社)日本公園緑地協会会議室
【出席者】
柴田昌三 有路信 武田重昭 平賀達也 井原縁 金清典広 の6委員
【審査経過】
各委員に事前に提出作品および審査の方法について検討いただき、当日は審査方法を討議し、その後11作品のパネルを1作品ごとに評価し、各委員の評価結果をもとに審議して、最優秀賞ほかの以下の受賞作を決定。
第2次審査対象11作品と受賞作は以下のとおりである。
no. | タイトル | 応募者名(チーム・個人) | 受賞 |
---|---|---|---|
d-003 | るめぐる~つながる、流れる、めぐる~ | Kankyosekkei | 佳作 |
d-005 | 「いのちのステージ」全てが対話する舞台 | TOA-A | |
d-006 | 芥子纳须弥 —極⼩の空間が膨⼤な世界を包括する | TOA-B | |
d-009 | 『AFTER万博』2025年後も続く自然と人が繋がる水景 | エッグデザイン一級建築士事務所 | |
d-012 | Cascade of Wetland Habitat 臨海都市の環境装置 | HUMUS landscape architecture Inc. | 優秀 |
d-018 | 未来への希望とノスタルジーが邂逅する風景 | 淡路景観園芸学校研究科11期(兵庫県立大学大学院) | 優秀 |
d-019 | 臨燈の丘 | 庭園研DGC | 佳作 |
d-020 | 海のENGAWA2025 | チーム KTT | 最優秀 |
d-022 | いのちの景 | 株式会社オオバA | |
d-023 | 未来へつなぐ日本の原風景 | 株式會社オオバチームB | 佳作 |
k-017 | 未来、それは “ふぞろい” ~自然は「画一」を求めない ~ | 多田学 |
応募作品の審査のプロセスを通じて、2025年大阪・関西万博の開催へ向けて、改めて自然の価値を高めながら持続可能な環境を創出・保全していくランドスケープデザインの役割の重要性が再確認された。
国内外から応募のあった23作品は、万博のテーマを踏まえた未来社会におけるランドスケープの可能性を示すものであった。なかでも第1次審査を通過した11作品は、いずれも明快なコンセプトとそれを実現するためのデザインが的確に提案されていた。それぞれの作品は、万博会場に対する提案ではあったが、それを通じて現状の都市環境の脆弱性や社会システムの歪みなどに対する問題を浮き彫りにし、その解決に向けた糸口を提起しようとする姿勢が感じられた。テーマについては、包括的な視点を持って持続可能な環境を提案しようとするものから、水や光といった特定のテーマから会場の風景に秩序をもたらそうとするものまで多岐にわたった。デザインの対象範囲についても、万博会場予定地の全体や一部地区を対象としたものにとどまらず、夢洲全体にまで範囲を広げて提案するものまで多様な広がりが見られた。
審査においては、立地ポテンシャルの読み解き、コンセプトの論理性、プレゼンテーション力などの項目に加えて、技術や素材の使い方、ランドスケープの可能性や発展性などの視点から評価が行われた。さらに審査のプロセスにおいては、これらの視点にとどまらない総合的な魅力度といった人の心に働きかける訴求力についても評価された。
最優秀賞に選ばれた「海のENGAWA2025」は、日本人が長い時間をかけて培ってきた自然の営為を活かす智恵に着目し、100年後といった長期的なタイムスパンに立った舞洲全体の環境の目標像を提示している。大阪湾を取りまく自然と新田開発によって都市開発を進めてきた歴史を踏まえ、自然が息づく島としてのあり方をデザインした作品である。また、仮設性・可動性にこだわった施設計画で、ポスト万博における資源循環や再利用にも配慮がなされている。万博という短期間の都市イベントを計画するに際して見失いがちな長期的な目標像を自然の営みによって示すとともに、それと対比的にグリッドシステムの仮設パビリオンが配置されることで、自然の持つ大らかな魅力をより力強く感じることができるデザインとなっている。このような100年というタイムスパンを要する持続的な自然の営みの再生に向けて、私たちがいま取り組むべき課題は山積しており、2025年の万博がその解決に向けた大きな原動力となるとともに、自然との付き合い方を再認識する必要性を訴えかける作品であると評価された。
最優秀賞1点、優秀賞2点、佳作3点について、作品と提案趣旨書の公表
受賞 | タイトル | チーム名 | 代表者 | 提案 趣旨書 |
作品 |
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最優秀 | 海のENGAWA2025 | チーム KTT | 德永哲 | ||
優秀 | Cascade of Wetland Habitat 臨海都市の環境装置 | HUMUS landscape architecture Inc. | 高沖哉 | ||
優秀 | 未来への希望とノスタルジーが邂逅する風景 | 淡路景観園芸学校研究科11期(兵庫県立大学大学院) | 荒巻友里恵 | ||
佳作 | るめぐる~つながる、流れる、めぐる~ | Kankyosekkei | 西口かおり | ||
佳作 | 臨燈の丘 | 庭園研DGC | 武田オダイマ海沙子 | ||
佳作 | 未来へつなぐ日本の原風景 | 株式會社オオバチームB | 大宮風香 |